ほわほわ嘘を愛する女
嘘を愛する女

嘘を愛する女

岡部えつ

徳間書店

2017年12月01日頃

概要

「愛さえも、嘘ですか?」 大手食品メーカーで業界第一線を走るキャリアウーマン・由加利(演:長澤まさみ)は、研究医で面倒見の良い恋人・桔平(演:高橋一生)と同棲5年目。結婚を考え始めていたある日、桔平はくも膜下出血で倒れ、所持していた身分証はすべて偽造だったことが判明する。経歴も名前もすべてが「嘘」だった恋人の正体を探るべく、由加利は探偵(演:吉田鋼太郎)と調査に乗り出すが…。映画話題作の小説版書下し。

ステータス

読んだ

メモ

◎堅牢けんろう(かたくて丈夫なこと) ◎涙が両目からどくどくとあふれ、頬を波打つように流れ落ち、耳をくすぐり、枕に吸い込まれていく ◎あのとき、冷蔵庫の前でうずくまっていた万里子は、僕の帰りを待っていたのだ。そして今も、待っているのだ

ほわほわさんの感想・評価

これは原作ではなく、映画化されたものを文庫本化した作品。あとがき等もなく、その意味では自身にとって初だったが、想像以上のインパクトがあって大満足!まさに手にとって良かったと思える本だった。映画化された作品を先に見たわけではなく読み始めて気付いたのだが、吸引力が今までの作品でトップだと思う。技法とか時系列の乱し方とか詳しいことは全く無知な私が、飲み込まれるようにノンストップで読んだのはこれが初めて(とはいえ20弱くらいしか読んでないけど)。全てが嘘にまみれた身元不明の恋人との繋がりは、あまりにも脆く細く弱いものだったことを知ったうえで、彼女は探し求める。なにが本当でなにが嘘で、自分の目は何を見ていたのか。なにもかも幻だったのか。少しずつ明らかになる彼の輪郭をなぞりながら、全ての顛末を知ったとき、全く予想だにしなかったというよりは信じるということを諦めなくて良かったという救いに近い感覚があった。その終わり方が私はすごく好きだなぁと。残り30ページほど、本当に全てを回収できるのかというどこか冷めた読者目線が抜け切れなかったが、ラストは食い入るように感情移入しながら文字を追った。目を覚さない彼の本当の感情なんて分からないけれど、信じたい・信じていいと思えるものを掴んだことで、主人公の希望的観点がより強まったのだろう。本当に、締めには痺れた。

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