もしもし、運命の人ですか。
穂村 弘
KADOKAWA
2017年01月25日頃
概要
黙々と働く昼も、ひとりで菓子パンをかじる夜も、考えるのは恋のこと。あのときああ言っていたら……今度はこうしよう……延々とシミュレートし続けた果てに、〈私の天使〉は現れるのか? 人気歌人による恋愛エッセイ集。MF文庫ダ・ヴィンチの人気作品が角川文庫に登場。
ステータス
読んだ
メモ
◎同様に、恋の「ときめき」についても、その上昇カーブが少しずつなだらかになり、やがては水平飛行に変わる時がくる。もうトイレに行ってもよくなるのだ。 ◎さかのぼり嫉妬 ◎うまく云えないんだけも、たぶん初めてのことをふたりで分け合いたかったんだと思う。たとえ、それが一緒に罠に掛かることでも ◎私は怒りや羨望を通り越した静かなやけくその境地に達していた ◎あいつって、前歯が奥歯なんだよな ◎私の心を縛っている自意識、心配、そして効率 ◎私は不意打ちに弱い。他人が作り出し…
◎同様に、恋の「ときめき」についても、その上昇カーブが少しずつなだらかになり、やがては水平飛行に変わる時がくる。もうトイレに行ってもよくなるのだ。 ◎さかのぼり嫉妬 ◎うまく云えないんだけも、たぶん初めてのことをふたりで分け合いたかったんだと思う。たとえ、それが一緒に罠に掛かることでも ◎私は怒りや羨望を通り越した静かなやけくその境地に達していた ◎あいつって、前歯が奥歯なんだよな ◎私の心を縛っている自意識、心配、そして効率 ◎私は不意打ちに弱い。他人が作り出した価値観に弱い。 ◎せっかく貯まったスタンプが無効になってしまう。有効期限切れになる前にアクションを起こさないと。だが、どうやって。 ◎胸が痛い。ほとんど物理的に痛い。今日という日の「可能性」が終わってしまう痛みだ。 ◎最高の自己アピールとは、結局、圧倒的な「個性」の提示に尽きるのかもしれない ◎恋も風邪も、子供は一気に高熱が出てすぐに下がるのに対して、歳を取るとなまし免疫があるせいか曖昧に始まってぐずぐずと長引くのだ。〜以上の類似性からみて、私は恋の原因が未発見のウィルスだったとしても驚かない(驚くけど) ◎五感と三大欲求に変調をきたすのは、限りある存在が素手で永遠に触れようとした報いではないか ◎恋とセックスは野球やサッカーなどよりも遥かに重要な種目であり、いわば全人類が選手なのだから必読だ ◎女子にとっては女子力の圏外にある長所の多くが恋愛の入り口にならないのだ。それどころか出口になることも少なくない ◎ウェルカム・トゥ・「比較」ワールド。少年よ、そこが地獄の入り口じゃ。 ◎生の実感は死に近づくことによって得られる。この絶対的な矛盾が日常のなかで現象化したものが恋の本質だと思う
ほわほわさんの感想・評価
固さを感じさせない力加減でありながら自己完結ではなく、確実に読者を巻き込み仲間意識を持たせた上で急に手を離すような。人を気にせず我が道を行くわけではない、日常に転がる違和感や矛盾にいちいち足を止める敏感なセンサーの持ち主。 偏った考えや極端な視点が多くあるにも関わらず、読み進める手が止まらなかった。突き動かす原動力は間違いなく作者の視点であり、文体であり、表現であり、とどのつまりは人となりである。 具体的な打開策を提示してもいないし、一般的な視点から丁寧に考察してもいない。のに、妙な説得力と安心感で満たされる。 きっとその根っこには、他の感覚への置き換え(つまり例えや比喩)の巧さがあると思う。多少のズレを感じたとしても、それすら作者の個性だとつっかかることなく飲み込めるのは、静かに全身を侵す作者の毒に既にやられているからなのかもしれない。その一方で、本人の特性や考え方が数多く披露されているのに、100分の1でさえも掴めていない底無し沼感覚に陥る。 憧れつつも近づけない、掌握できない存在感は、磁気のように私を惹きつけてやまない。この人の頭の中を知りたいと他の作品に次々と手を出してしまう気しかしない。
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