まるちゃん静かな雨
静かな雨

静かな雨

宮下 奈都

文藝春秋

2019年06月06日頃

概要

会社が潰れた日、パチンコ屋の裏の駐車場で、やたらと美味しいたいやき屋を見つけた行助。そこは、こよみさんという、まっすぐな目をした可愛い女の子が一人で経営するたいやき屋だった。行助は新たに大学の研究室の助手の働き口を見つけ、そのたいやき屋に通ううちにこよみさんと親しくなり、デートを繰り返すようになる。 だがある朝、こよみさんは交通事故の巻き添えで、意識不明になってしまう。家族のいないこよみさんのために、行助は毎日病院に通う。三月と三日経った日、奇跡的に意識を取り戻したこよみさんだが、事故の後遺症の高次脳機能障害で、短期間しか新しい記憶を留めておけないようになっていた。 二人は一緒に住むようになるが、こよみさんは、その日の出来事を覚えていられない。だが、脳に記憶が刻まれなくなっても、日々が何も残していかないわけではない。忘れても忘れても、二人の中には何かが育ち、ふたつの世界は少しずつ重なっていく。それで、ふたりは十分だったーー。 第98回文學界新人賞佳作に選ばれた瑞々しいデビュー作。 文庫版にはアンソロジー『コイノカオリ』(角川文庫)収録の「日をつなぐ」を併録。中学時代の恋人と結婚し、知らない町で一人子育てをする真名。くつくつと豆を煮る描写が効果的に挿入され、30数ページの中に凝縮された女性の半生と思いが描かれる。 解説・辻原登

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