本の感想・レビュー
パンドラの匣

パンドラの匣の感想・レビュー

太宰治

河北アド・センター

ISBN: 9784873412351

読者の感想・読書記録

ブックミーに投稿された公開の読書記録です。感想はそれぞれの読者の意見です。

miさん

明るい太宰治。 療養所という閉ざされた空間の中で、主人公が周囲の人々を「ぼんやり好き」でいる感じが心地よく、世界に対する漠然とした愛情が滲んでいるところが好き。女性二人と恋愛関係になりそうな出来事がありながらも、主人公が発展させないために大きな波乱は起こらず、そっと流されていくところが好き。この空間と、ここにいるみんなが好きだから、自分の欲求を後回しにして調和を保とうとしたんだと思った。勇気がなかったというのもあると思うけど。 「みんな、なんとなく好きだなあ」という気持ちが自然に描かれていて、読後に静かな幸福感が残る。ここは病棟で一般的には未来のない者が集められるところ。でも、主人公ひばりが最後に記す言葉は、ひばりが切り開いていく明るい未来を予感させた。パンドラの匣にひとつ残った希望の輝きが感じられる作品。

元の読書記録を見る

あなたの感想も、読書仲間へ

ブックミーで読んだ本を記録して、感想を共有できます。

ブックミーアプリをダウンロード