『チームトポロジー』と一緒に読んでよかった。多くの人にとっては、どっちかを読むならこっちを読んだほうがいいと思う。 本著は不確実性はどのように大別できるか、そしてそれらの不確実性を効率よく減らしてうまく扱うにはどうすればいいかをテーマとしていた。 まずは不確実性に関する一般論。それから、個人やチーム、技術組織全体で不確実性をどう扱うことができるか、という流れ。 『チームトポロジー』では、ビジネスドメインでチームを分割すべきだと述べて、具体的なチームの分け方、チーム同士のコラボレーションとチーム種別のインターフェースを解説していた。 本著では、ビジネスドメインでチームを分割しないとどうなるのか?を情報の非対称性と限定合理性を高めてしまうことで説明し、それが様々な不確実性(方法、目的、通信)を高めてしまうことを説明している。『チームトポロジー』ではこのあたりのWhyの部分は単に個人やチームのモチベーションとか認知負荷が増えるとかで説明していたが、本著では価値や具体的に起こりうることに絡めた説明になっていた。 責任を限定することも重要だが、本著ではさらに、視座を上げるストレッチな目標設定と、それを達することによる自己効力感がモチベーションにつながるといっている。 ただし、責任には権限がセットとも。 このあたりは、人事評価の一定割合を組織目標の達成度として、残りを個人目標の達成度としている評価制度の理由なんだろうと思った。また、組織の上からカスケードして目標を設定することは、限定合理性による不必要な政治を抑えるのに役立っているんだろうなと思った。 ある種、これら二つの本では責任範囲に関する考え方が違っていて、チームトポロジーはチームの責務を明確にしてそれをこなしている形を理想。認知負荷を抑えることとデプロイ頻度を高められる環境が自律性につながること、それがチームのモチベーションにつながることを、責任を限定する良さだと言っていた。 本著ではチームより小さい範囲の限定合理性が働かないようにしつつ、少しだけ視座を高め視野を広げることの良さを言っている。 チームトポロジーは比較的大きな会社組織の論理かもしれない。 本著は、様々な職能を持つ人達同士のコラボレーションの頻度が高く、目的不確実性と方法不確実性が高いベンチャーや小中規模の組織の論理だと思った。 失敗を学習の機会として捉え、チーム内での役割を決めずに情報の非対称性や限定合理性を低めることで心理的安全性を育むことが、対話を促す土壌を作り、長期的に上手くチームで不確実性を扱えることにつながる。 スクラムは学習と対話のための方法論と解釈して、スクラムで大事なことも書かれていた。 また、最終章では技術組織全体と経営サイドの情報の非対称性および限定合理性にいかに対処するかが書かれている。 特に、よく技術的負債と言われるようなことは、経営サイドからすれば理解しづらいことなので、「技術的負債」という表現を充てられた流れがあるという意見を述べていた。 ここでもまた、リファクタリングをオプションとすることで、先々の追加要件への対応時の不確実性を減らす考え方をしていた。 限定合理性っていう言葉と、不確実性の大別は特に知って良かった。
元の読書記録を見るエンジニアリング組織論への招待の感想・レビュー
廣木大地
技術評論社
ISBN: 9784774196053
読者の感想・読書記録
ブックミーに投稿された公開の読書記録です。感想はそれぞれの読者の意見です。
ソフトウェア開発の課題とアプローチがわかりやすく整理されている。 かなり解像度が高いため、参考になることが多かった
元の読書記録を見る前読んで大事だなーって思った
元の読書記録を見るあなたの感想も、読書仲間へ
ブックミーで読んだ本を記録して、感想を共有できます。
ブックミーアプリをダウンロード