伊坂幸太郎さんの『首折り男のための協奏曲』です。 連作短編集になっています。 1.首折り男の周辺 首折り殺人事件が世間を騒がせる中、定年退職した若林夫妻は、隣の部屋に住む大柄な男を首折り男ではないかと疑います。一方、首折り男の大藪と顔がよく似ている小笠原稔は、大藪と間違えられたことで、ある依頼に巻き込まれます。また、いじめに悩む中学生の中島も登場します。 それぞれの出来事が進む一方、本物の首折り男である大藪は悪徳金貸しを皆殺しにしたその現場で突然亡くなります。小笠原稔は、中島のいじめっ子を退治します。話端折りすぎですが。 2. 濡れ衣の話 息子をひき逃げ事故で亡くした丸岡は、事故の加害者である女性と偶然再会します。女性が事故について反省していないことに腹を立てた丸岡は、女性を刺して殺してしまいます。 そこへ首折り男の大藪が現れます。大藪は丸岡から事情を聞くと、女性の首を折り、自分が首折り殺人を行ったように偽装します。そして、丸岡が殺人犯として捕まらないようにして、その場を立ち去ります。 3. 僕の舟 病気になった夫を看病している若林絵美は、若いころに出会った男性について黒澤に調べてもらいます。絵美は、銀座で出会った男性と、幼いころ遊園地で迷子になったときに出会った少年のことを思い出していました。 黒澤が調査した結果、銀座で出会った男性も、遊園地で出会った少年も、現在の絵美の夫・順一だったことが分かります。 4. 人間らしく 黒澤は依頼の調査で、知人の小説家・窪田を訪ねます。そこで窪田は、クワガタを例に挙げ、人間をいつも監視しているのではなく、たまたま覗いたときに悪いことをしている人間に何かをする神がいるのではないか、という話をします。 その後、妻に介護を任せて浮気をしている男や、塾で同級生をいじめている少年など、他人に悪事を働いている人物たちに、次々と天罰が当たります。 5. 月曜日から逃げろ 泥棒であることを知られてしまった黒澤は、その弱みを利用して久喜山から絵画を盗み出すよう要求されます。黒澤は要求された絵画をめぐって行動することになります。 物語は「月曜日」「火曜日」「水曜日」……と曜日ごとに進んでいきますが、各曜日の出来事は単純に連続した一週間の出来事ではありません。読み進めることで、それぞれの出来事の時間的な前後関係が明らかになり、黒澤は盗んだ絵画を久喜山の家に置いておきます。 6. 相談役の話 伊達政宗の息子・秀宗に仕えた相談役、山家清兵衛は、藩政に関わる優秀な人物でしたが、周囲から疎まれ、殺害されます。その後、山家清兵衛の死に関係した人々に次々と不幸が起こり、祟りではないかと噂されます。 現代では、作家の窪田がある男と出会います。 会社で社長の息子である有能な男です。彼の会社に、父である社長から送られてきた相談役の男は事故で死にます。その後、彼の死に関係した人物たちの周囲で不審な出来事が続き、山家清兵衛の話と重なるように、次々と死んでいきます。その有能な男には幽霊が取り憑いているようです。心霊写真として映っていました。 7. 合コンの話 男女が集まる合コンが開かれますが、幹事が欠席したため、予定とは違う形で会が始まります。参加者たちは首折り殺人事件について話したり、それぞれの身の回りの出来事について話したりします。最後には参加者の佐藤さんのピアノの腕前にみんなが圧倒されます。 この本は、最初から一つの長編として設計された物語ではなく、もともと独立して書かれた7つの短編を並べ直し、加筆修正して緩やかにつなげた連作集だそうです。 なので読み終わって全体を振り返った際に印象がぼんやりします。あれ、どういう話なんだっけって。 でもなんとなくあっというまに読んでしまうんですけどね。
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伊坂 幸太郎
新潮社
ISBN: 9784101250311
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