人間って本当に複雑な生き物ですよね。複雑なのは、自分をうまく偽るところにあると思います。でも、この本に出てくる4人は全く自分を偽らず、正直に自分の気持ちをさらけ出しています。それがこの作品の大きな特徴だと感じました。 渡辺の目には「性」と「愛」は別物として映っていて、だからこそ直子を待つと約束しながらも、他の女性と関係を持つことができたのでしょう。ここでは男性の視点から描かれていますが、現実の男性もこういうものなのかな、と考えさせられます。渡辺の友人の永沢も、仕事が安定した途端、初美のように深く愛してくれる女性と別れることを考える。やはり「約束」は愛している間しか意味を持たないのかもしれません。利益や現実が絡むと、人は責任感を失い、自己中心的になってしまうのだと思います。 一方で、女性の視点から見ると、緑・直子・ハツミこの3人の女性たちはみんな一途で深い愛情を持っています。特に印象に残ったのは、初美が渡辺と永沢について話している場面です。永沢がどんなに許せないことをしても、初美は「それでも愛している」と言い切る。その姿がとても強く心に残りました。現実の世界でも、こういう女性は少なくないと思います。だからこそ、女性の方が恋愛において一途になりやすく、その分、傷つきやすいのかもしれません。
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村上 春樹
講談社
ISBN: 9784061879362
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