土中環境 忘れられた共生のまなざし、蘇る古の技
高田宏臣
建築資料研究社
2020年06月19日頃
概要
古来より存在する土木技術は、いかにして環境を守ってきたのか、そしてその技術は現代を生きる我々にどのように語りかけてくるのか。造園から環境を考える一冊。
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メモ
○第1章 土中環境とは 10.1依正不ニ 山川草木全ての環境と私たち人間は一体ふにの関係にあることを意味する仏教用語 16.6良い森は全てが循環し調和する 16.23そのような健全な環境を、われわれ人間は「美しい」、「尊い」と感じ、優しい心持ちになる 16.27一方で、遠目には緑に覆われていながらも、荒廃して心地良いとは誰も思わない/それは「ヤブ(藪)」と言われます 20.16土中の水と空気が健全で滞りなく動く時、土壌は多孔質な状態へと育っていきます。この多孔質な土壌構…
○第1章 土中環境とは 10.1依正不ニ 山川草木全ての環境と私たち人間は一体ふにの関係にあることを意味する仏教用語 16.6良い森は全てが循環し調和する 16.23そのような健全な環境を、われわれ人間は「美しい」、「尊い」と感じ、優しい心持ちになる 16.27一方で、遠目には緑に覆われていながらも、荒廃して心地良いとは誰も思わない/それは「ヤブ(藪)」と言われます 20.16土中の水と空気が健全で滞りなく動く時、土壌は多孔質な状態へと育っていきます。この多孔質な土壌構造を「団粒構造」、そして団粒構造を有する土壌を通称「団粒土壌」 22.3種の水の動き[重力水、毛管水、結合水] 27.1土中に菌糸が張り巡らされることで土壌の団粒構造が壊れることなく保たれ、保水性、透水性、通気性共に高く安定した、、、 28.30土中の環境は水脈で繋がっている 30.19「大地の皮膚」とも言えるのがこの腐食層なのです。 (腐食層:A0層 落ち葉などが分解途中で菌糸が充実、雨撃や土の流亡も防ぐ) 33.3命あるものはすべて土に還り、そしてまた新しいいのちがそこから生まれる 33.30土壌を考える際も、単に物質として土壌の性質を見るだけでなく、命の営みの相対/として見ていかなければなりません。 38.20腐食層が急速に消滅している 41.9菌糸のネットワークを通じて介して木々はまるで会話しているかのように、お互いに情報や物質を交換している 43.9菌根菌はその木が土に還るべき時が来ると、樹木内に入り込んで、生気を吸い取り、分解していきます/他のいのちを育む養分として、菌糸のネットワークを通して、生きるべき命へと受け継がれるのです。それが、「いのちのリレー」生と死の循環です。 43.23人間にとって都合の良い働きだけを存在させようとする試みは、本来の自然の秩序を無視した在り方だと言わざるを得ないでしょう。(菌に善悪はない、あるのは相性) 44.16こうした命の循環そのものが、土壌本来の姿 46.15古来、人は露出した巨石に神秘的なエネルギーを感じ、おそれ敬ってきました 50溶け出したミネラルが禁止を介し、あるいは岩を伝う雨によって岩の裾に染み込み、土中の禁止ネットワークを介して森全体、木々全体に受け渡されてその名のごとく「いのちの杜」として息づく環境をつくっていく/また禁止が消失した露岩は、すぐに節理が目詰まりして浸透性も貯水性も失われます。/ 51土の世界がいのちを生み出す拠点となるためには、有機物と無機物、菌糸を介したエネルギーや養分の循環が必要です。そして、その要の一つが露岩であり、そこに苔むして菌糸が覆うことで、初めてミネラル分が半永久的に土中に供給される。/そういう環境をかつては「杜」と呼び、神聖な場所として大切にされてきました。/いのちの循環の拠点や、その力強さに何か神秘的なものを感じておそれることは、人間の本能 ◯対談「土中環境再生は地方創生につながる」 58高田さんは森全体の滞りを見る/それは街づくりでいうと、空き家なんですよね。空き家があると空気が滞るんです。/空き家をきれいにすると、そこに住んでみたいという人が現れて、その周辺にまた活気が戻ってくる 59大切なのは、思考すること/現場を観察する力と対話する力 61樹木はその土地の環境の情報を拾って生きていますから。いろんな気象を体験して、その土地に適応していく。 63そもそも、われわれの対話力が落ちていると思うんです。それはSNSの「いいね」に代表されるように、一言で終わらせてしまう状況が当たり前になっている。/相手の表情を見ながら話すことで初めて対話が成り立つと思いますし、その対話がなければ、気づきもないと思うんです。 ◯第2章 大地の通気浸透水脈 68古くより山域全体が深いσんの領域として守られてきた理由は、水脈の拠点であり、それこそが豊かで安全な環境も源であり、同時に農林漁業の営みにおける豊かな生産性の源でもあるからなのです 70大地が息づいて安定するために水と同時に空気も連動して動くことが重要 78伏流水の状態が河川の健康具合を左右します/水脈を分断され停滞してしまえば、山も川も健康ではいられない 82人工構造物が/自然を崩壊させていく 87土石流の現象は流域全体における通気性浸透主脈の停滞が起こることで、それを解消し大地を安定させようとする、自然の作用 ◯第3章 暮らしを支える海・川・森の循環 111水脈を保つことは環境全体を健康に保つ 115環境の要となる土地を的確に把握し、信仰の力を借りてそれを守り伝えてきた先人の智慧に、私たちは再び学ぶ必要があるでしょう 118「伝統できなあ犬の暮らしが成立する環境はありません。北海道の川はどこも死んでしまいましたから」 118いのちの源としての森林を、杜と書いたのも、気だけでなく、木と土が共に健康で一体に育ってこそ、多様で豊かな命が循環し、永続することを表しています。森と川もまた一体であり、一方だけの健康はあり得ない 125今は多くのサケが、河口で一網打尽に捕獲され、お腹から卵が取り出されて人工的に孵化が行われます。そのようにして生まれた稚魚が川に放流されます。 135人は生き物としての本能から、こうした正常な循環が営まれる光景を美しいと感じ安らぐ 水と通して全てがつながり、営まれるのが生態系の循環です。守るべきものは、こうした循環を支える健全な水脈環境。それを支えるのが豊かな森の環境だということを、その土地の収穫によって生き、いのちを繋いできた先人たちは、普通に体感し、理解してきた 136クスノキの根本に大切に守られてきた井戸がある 138鎮守の杜の多くはかつて、その神域として一山がまるごと神社にあてがわられ、保持されてきました。ところが現在その多くは、社殿の背面の一角のみが社寺林として残されるに過ぎなくなり、時代の流れとともに、鎮守の杜を保つことの大切さが忘れられてきました 139数十年も前に立ち枯れて、骨のようになったクスノキの大木がご神木とされ続け、その枯れた木の周辺の木々のまた巨木に成長しています。この一連の樹木群は、いわば「ご神木群落」として大切にされており、その中心がこの朽木になります。立ち枯れた巨木は/ゆっくりと分解されていきながら、その養分を周囲の守りに受け渡していきます。 140井戸脇のクスノキと、山頂部の御神木ぐんは錦糸を介して繋がっており、そして右元の地形の変わり目にかつての土葬墓地が、菌糸のネットワークを中継しています 142酒造の発酵の営みが筋群を生かし、それが神崎神社の杜をも健全に生かすことにつながる 143法律により、傾斜角が30度以上の斜面は「急傾斜地崩壊危険区域」に指定されます。本来は、この段丘の休憩者によって土中の鈴や空気が活発に動くため、湧き出す水も豊富で、木々は根を深く張り、災害に強く土地としても安定しやすい 145急傾斜地と平地との境目のライン(地形変換ライン)をコンクリート擁壁等の重量物にて押さえ込むことにより土中の目詰まりが起こり、それによって表面水脈の分断が生じます。 ◯対談「発酵は自然の神秘」 147森があることでおさげ作りができている/逆にお酒作りをすることが守りに対しても良い影響を与えている 149樹木のポット苗を作っているんですが/土も肥料も使いません/落ち葉のような土になる前段階の腐食層(A0層)の物をぎゅうぎゅうに詰める。そうすると鉢の中に菌糸が張り巡らされる 153”森”は、「こちらをつぶして新しくこちら息を植えてつくればいいじゃないか」と発想されがちですが、そうじゃないんです。ずっとそこで続いてきたから育まれてきたものがあるんです。 154文明が自然を食い潰してほrんで帰宅にはたくさんあります ◯第4章 安全で豊かな環境を持続させてきた先人の智慧と技 166「崩してはいけない箇所を短期的に確実に押さえる」ということは、現代土木の得意とするところ/この方法は決して持続可能とは言えない 172石垣がつくる高低差によって、上部は水の浸透が良いため樹木がよく育ち、水と空気のうご血が保たれる石垣の合間に根を張っています。木々は、心地よい環境を壊そうとはせず、この状態で安定し、共存する 175人の営みと土中環境との調和の積み重ねの中で、安全で快適な住まいの環境を育んできた 177都市化が進み、大都市もまた沖積地に集中します(日本の沖積地は10%、そこに資産75%、人口49%が存在) これだけ大規模な時かを可能にしたのは/現代の土木工学技術の発達によるものです/ところが近年、水害土砂災害の多発の猛息かも一向に収束しないばかりか、安全も安心も益々当座勝っているように感じられます。 182山を守り、川を汚さず、見えない大地の下の水の動きに気を配る、そんな暮らし方が美しい風土を育んできた/海と山と川と町とをそれぞれ分断して都合よく管理してきた現代。本来一体であるはずの自然の営み/自然界における人間の役割、文明の節度をどこに持つべきか ◯第5章 土中環境改善の実例 5例 192縦穴の環境では、詰めた枝葉が分解される過程で土中の菌糸が増殖する 193桜だけを活かすのではなく、環境全体の健康と本意の緑の心地よさを取り戻すことで結果的に桜も健康を回復する 195古くから地域の水脈環境業の要となる場所を神域として守り、後世にはそこに神社が配された 201自然環境と人の営みとの調和が、その土地固有の美しい風景・風土を育んできた。 202段差ごとに下部のきわに溝が掘られている。現代、この溝は単なる排水設備とみなされることが多いがそうではない。/環境を痛めてしまうコンクリートU字側溝とは根本的に異なる 204表層水脈の分断要素が多い現代の住環境では横溝だけでは不十分/さらに溝城に縦穴を開け、そこに枝葉を絡ませ、より深い位置にまで水と空気を誘導する(菌糸増殖) 213大地に還元分解する手作りバイオトイレ。用を足した後、炭と落ち葉などをまぶし、使用後ちり紙はごみ箱に。後に紙だけは燃やす 215雨水が浸透するための雨落ち(溝)の造作 217休暇の際や週末には、多くの都市住民がダーチャ(旧ソ連圏で今も大半の世帯が郊外に所有している宿泊小屋付きの菜園用地)で過ごす。子どもたちも都会に居住しながら、郊外で豊かな自然の恵みに触れて育つ。時給的に野菜や果樹を栽培し、小屋もトイレもサウナも、生活に必要なものの多くはセルフビルド
ひろきさんの感想・評価
調和。 初めは懐疑的だったが、事例を見てみると納得した。要点は循環を止めない環境を意識しようということ。その材料が水や通気精通脈や湧水、菌糸など。 建築系、環境再生、災害に関心がある人にも勧めたい ダーチャフィールドの試みは面白く、前から関心のあった自給生活や、本「自立力、、」とも関連し、興味を惹いた。 子供たちの非認知能力もこういった活動から伸ばせるのではないか
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