薄雪火星に住むつもりかい?
火星に住むつもりかい?

火星に住むつもりかい?

伊坂幸太郎

光文社

2018年04月12日頃

概要

「安全地区」に指定された仙台を取り締まる「平和警察」。その管理下、住人の監視と密告によって「危険人物」と認められた者は、衆人環視の中で刑に処されてしまう。不条理渦巻く世界で窮地に陥った人々を救うのは、全身黒ずくめの「正義の味方」、ただ一人。ディストピアに迸るユーモアとアイロニー。伊坂ワールドの醍醐味が余すところなく詰め込まれたジャンルの枠を超越する傑作!

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読んだ

薄雪さんの感想・評価

伊坂幸太郎さんの『火星に住むつもりかい』です。 伊坂さんの本のなかではそれほど有名ではなかったので期待しないで読んだらとても面白かったです。 仙台は政府の実験都市として「安全地区」に指定され、犯罪を未然に防ぐという名目で平和警察が導入されます。しかし実態は、市民同士が互いを監視し、密告された者が取り調べ施設に連行され、暴力的な尋問や公開処刑を受けるという恐怖政治でした。市民は疑われないために善人を演じ続ける生活を強いられています。 大学教授の金子が中心となり、平和警察に反抗するための「金子ゼミ」が結成されますが、これは平和警察の真壁が仕掛けた罠で、参加者たちは取り調べ施設に捕らえられ、過酷な尋問を受けます。 その最中、黒ずくめのつなぎを着た謎の男が現れ、強力な磁石を使った武器で警官を倒し、囚われた市民を救出して姿を消します。 平和警察は磁石の武器の出所を追い、白坂研究所の学生である大森鴎外に辿り着きます。しかし鴎外はすでに死亡しており、タクシー運転手を助けようとして警官に誤射されて死んだことがわかります。黒ずくめの男が鴎外である可能性は消えます。 鴎外の遺した強力な磁石と木刀を拾ったのは、理容師の久慈羊介でした。久慈は代々「正義感が強すぎて損をする」家系で、自身も家族を失い、さらに鴎外の死を目撃したことで平和警察と戦う決意を固めます。久慈は自分の店に来る客とその家族だけを助けるという基準を定め、黒ずくめの男として活動を始めます。 一方、平和警察内部では真壁を中心に黒ずくめの男の正体を追う動きが強まります。 平和警察は黒ずくめの男を誘き出すため、久慈が助ける基準に該当する人物を連行します。久慈は現れますが、逃走の際に真壁が死亡しますしかし後に真壁の死は偽装であり、彼が別の目的のために姿を消したことがわかります。 平和警察の捜査の結果、黒ずくめの男の正体が久慈羊介であることが判明します。久慈は鴎外の磁石を武器に、平和警察の暴力から市民を救い続けていました。 久慈の常連客である佐藤誠人が処刑されると知り、久慈は処刑場に乗り込む決意をします。処刑当日、平和警察は黒ずくめの男を待ち構えますが、久慈が事前に仕掛けていた計画により複数の黒ずくめの男が現れ、処刑場は混乱に包まれます。久慈は処刑台に仕掛けられた磁石を利用して警視長の薬師寺を狙いますが、薬師寺は警視監を盾に生き延びます。久慈は混乱の中で姿を消します。 事件をきっかけに平和警察内部の腐敗が露呈し、薬師寺の権力は失墜します。新たに権力を握った上野刑事部長は平和警察を自分の都合の良い形に変えようとしますが、真壁の生存が示唆され、彼が裏で動いていたことが明らかになります。久慈は日常へ戻り、理容師として静かに暮らし続けます。 平和警察による監視社会・密告社会の描写がリアルで、 読んでいてとても怖いです、ゴールデンスランバーと似た世界観を感じます。ゴールデンスランバーが好きな方ならとてもおすすめです。

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