同志少女よ、敵を撃て
逢坂 冬馬
早川書房
2024年12月11日頃
概要
激化する独ソ戦のさなか、赤軍の女性狙撃兵セラフィマが目にした真の敵とは──デビュー作で本屋大賞受賞のベストセラーを文庫化
ステータス
読んだ
メモ
1942年、イワノフスカヤ村に住むセラフィマは、母と一緒に猟をして暮らしていた。ある日、村に帰ろうとするとドイツ人の一軍に占領されようとしているところ目撃する。戦おうとする母は狙撃手イェーガーに撃たれ、セラフィマも陵辱されようとする。そこにロシア軍の一団が現れ、セラフィマは救われる。ロシア軍のリーダーであるイリーナに強い言葉を投げられ、セラフィマは着いていくことにする。 憎しみを支えとして、辛い狙撃手としての教育を受けるセラフィマ。訓編学校では美しいシャルロッタ、カザフ人のア…
1942年、イワノフスカヤ村に住むセラフィマは、母と一緒に猟をして暮らしていた。ある日、村に帰ろうとするとドイツ人の一軍に占領されようとしているところ目撃する。戦おうとする母は狙撃手イェーガーに撃たれ、セラフィマも陵辱されようとする。そこにロシア軍の一団が現れ、セラフィマは救われる。ロシア軍のリーダーであるイリーナに強い言葉を投げられ、セラフィマは着いていくことにする。 憎しみを支えとして、辛い狙撃手としての教育を受けるセラフィマ。訓編学校では美しいシャルロッタ、カザフ人のアヤ、母のように優しいヤーナ、そしてウクライナ出身のコサックであるオリガと知り合う。 訓練学校を卒業したセラフィマは、皆と一緒に実戦であるウラヌス作戦に参加する。スターリンググラードを占領しようとしているドイツ軍を逆に包囲するのだ。作戦は成功するが、戦いでアヤを失う。 そして、決戦都市スターリンググラードに乗り込む一同。小部隊のマクシム、フョードル、ユリアンに出会いと、共に戦う。激戦の中、マクシム、ユリアンを失うが作戦を成功させ、帰還する。また、自分の仇である狙撃手の名前がハンス・イェーガーであることを知る。 戦況はロシアに有利に推移する。連戦の最中、セラフィマは故郷を同じくするミハイルと再会する。どんな状況下でも戦争において女性に暴行しないと誓うミハイル。 そして、セラフィマは最後の戦いに臨む。ケーニヒスベルクの戦いだ。その戦いは成功させ、ハンス・イェーガーも撃つが、セラフィマはオリガを失う。また、ミハイルがドイツ人女性をレイプしようとしているところを目撃する。戦争がそうさせるのだ。 同志少女よ、敵を撃て。本当の敵はここにいる。ミハイルを撃つセラフィマ。イリーナはセラフィマが戦争犯罪人として処罰されるのを防ぐため、彼女の左手を撃ち、全てをイェーガーのせいにする。イェーガーは他のロシア人軍人によって止めを刺される。 そして戦争は終わる。 1978年の戦後、イワノフスカヤ村にて、イリーナと暮らすセラフィマ。ある日、セラフィマのところに2通の手紙が届く。シャルロッタから、ヤーナの病死を知られる手紙と、有名なジャーナリスト,スヴェトラーナ・アレクシェービチからの手紙だ。『戦争は女の顔をしていない』という著作のための、インタビュー依頼の手紙だった。セラフィマは取材を受けようとする。 彼女にとっての戦争を、本当の意味で終えるために。
薄雪さんの感想・評価
2022年、本屋大賞を取った作品です。 他の本屋大賞作品も何作か読んではいますが、作品の完成度という点でずば抜けていると思います。話の展開が秀逸で600ページあるのですが4日くらいで一気に読んでしまいました。 1942年、イワノフスカヤ村に住むセラフィマは、母と一緒に猟をして暮らしていた。ある日、村に帰ろうとするとドイツ人の一軍に村が占領されようとしているところ目撃する。戦おうとする母は、ドイツ人の狙撃手に撃たれ、セラフィマも陵辱されようとする。そこにロシア軍の一団が現れ、セラフィマは救われる。ロシア軍のリーダーであるイリーナに強い言葉を投げかけられるセラフィマ。憎しみを支えとして、狙撃手としての教育を受けていく。 訓編学校では美しいシャルロッタ、カザフ人のアヤ、母のように優しいヤーナ、そしてウクライナ出身のコサックであるオリガと知り合う。 訓練学校を卒業したセラフィマは、皆と一緒に実戦であるウラヌス作戦を経験し、そして決戦都市スターリンググラードに乗り込んでいく。どんな悲劇がこの先待っているかも知らずに。 この作品は、戦争小説なのですが、作品を際立たせてるいるのが、それを女性という視点から書いているところです。男性なら、戦争に行くことも帰ってきて英雄と讃えられることも当たり前の時代であったけれど、女性はそうではなかった。戦争を潜り抜けた女性であっても、除隊後周りの視線を扱いから冷遇を受けてきた。そしていつの時代も戦争という状況の中で、女性は弱い立場に置かれて苦しんできた。 同志少女よ、敵を撃て。本当の敵はここにいる。 それはおそらく、特定の民族や国であろうはずはなく。また、男性や女性といった性別でもなく、戦争という異常な状況下で発揮される人間の本質なのだろうという。 もっと吉村昭の書いたバリバリの戦史小説のような作品かと思っていたのですがそうではなかったです。キャラクターも生き生きとしていて、とても読みやすかく、作者逢坂冬馬の優しい真面目で熱い人柄が伝わってくるような作品でした。
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