少女星間漂流記(1)
東崎 惟子/ソノ フワン
KADOKAWA
2024年03月08日
概要
「次こそ住める星だといいな」 馬車が銀河を駆けている。馬車を模した宇宙船が。乗っているのは、この風変わりな宇宙船を造った科学者・リドリーと、相棒の内気な少女・ワタリ。環境汚染で住めなくなった地球を後にして、二人は馬車を走らせる。目指すは、地球に代わる安住の星! けれど、二人が訪れるのはどれも風変わりな星ばかり……。死者を生き返らせることができるという神のいる星、運が良い人間ほど偉いとされる星、無数の図書館から成る星……変わった星々に、少女たちは翻弄されながらも強く生き延び、楽しみ、そしてまた別の星へ。 二人は今日も、広い宇宙を旅している。 神の星 運の星 愛の星 焔の星(書籍版特典) 本の星 悪の星 環の星 話の星 光の星 闇の星 鳴の星 謎の星 甘の星 精の星 夏の星
ステータス
読んだ
薄雪さんの感想・評価
東崎惟子(アガリザキ ユイコ)さんの少女星間漂流記 科学者のリドリーと、内気な少女ワタリは、馬車を模した宇宙船に乗り、地球に代わる安住の星を探して銀河を旅しています。 そんな2人の連作短編集。1作品1作品はかなり短いですが、とても面白いです。 神の星 神がいるという星。神は死者も蘇らせてくれるという。その神の正体を暴いた二人は。 運の星。 運比べで勝った人が何でも手に入れられる星。ただし、負けた人は・・・。勝負に負けたワタリを取り戻そうとするリドリー。勝つための方法とは。 愛の星。 人を純粋に深く愛す人々が多く暮らす星。だが人々は冬眠をするという。そして、眠りから目覚めた後にはいつも隣には愛する人はいない。 焔の星 碧い星を訪れた二人。そこは植物の蔓に覆われた人々がたくさんいた。彼らは何かを熱心に教会で祈っていた。一見平和な星。しかしなにかがおかしい・・・。 本の星 無数の図書館からなる星。普段本に影響されないワタリもそこで読書をすると、とても感動してしまう。 悪の星 廃墟だらけの星。二人は廃墟から一つの手記を見つける。手記には、その星の悪魔について書かれていた。悪魔の正体とは。 環の星 訪れた星では、狼が豚に狩られていた。その方法とは・・・。 話の星 その星はたくさんの本にあふれていた。テールという人と話をする二人。その星には強大な魔王がいるらしい。 光の星 美しく発光する人々が暮らす星。ある美しい少女は神に呼び出され、神のいる塔を登っていく。塔の上にいるものとは。 闇の星 その星で狼に襲われていた同じ地球人を助けた二人。故郷を同じくするワタリとリドリーは、地球人と邂逅する。しかしそこには真の闇があった、 鳴の星 ある星では巨大な口を持つ人々がたくさんいた。そして、皆が皆同じような挨拶をしてくる。 恐怖を感じる二人は・・・。 謎の星 お宝を探しにその星を訪れたリドリーとワタリ。 そこにはスフィンクスが現れ、謎が解けなれば二人を食い殺すという。 甘の星 ワタリの誕生日を忘れていたリドリー。以前チョコレートが売られていた星を訪れ、彼女へのプレゼントを探しに行くが・・・。 精の星 小さな未開の星に降り立った二人。そこにある小さな家で婦人に出会う。彼女の娘は領主の家に嫁に行ったという。二人は、娘にお使いを頼まれる。 夏の星 その星は夏だった。抜けるような青い空。そして青い海。水平線の向こうに見える入道雲。そしてワタリは死んだ友人と、両親に出会う。 ジャケットとあらすじから衝動買いしたんですがとても心に残る小説でした。一種のロードムービーのような作品なんです。リドリーとワタリ。愛し合う家族のような2人。星から星に渡り歩き、終の住処を探していく。 異色の出来なのは、最後の短編「夏の星」でしょうか。夏の日差し、青空、海。夏休みを思わせる情景の中、死んだ友人たちに再開する。そして懐かしい家に帰ってきたワタリ。何より亡くなった両親がそこにいる。ずっとそこにいたい。 でもワタリは、リドリーとそこをでて行く。なぜなんでしょうね。そこに止まることもできるのに。それは人生という終わらない旅の隠喩みたい。 ワタリは言います。全ての旅を終えて眠りについた時。きっとこの夏に帰ってくる、と言って。 わたしはこういう星の間を旅したり、終わらない旅を感じさせたり、ノスタルジックな雰囲気のある小説が大好きです。
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